肩こりだと思っていたら、実はとんでもない病気だった!?石原裕次郎さん、加藤茶さんなど多くの芸能人も苦しんだ病気とは?
「最近身体がだるい」「特に首や肩回りがだるい」「イライラすることが多い」などの症状が気になっていませんか?おそらくこれらの症状があると、「疲れているのかな?」と思い、休息をとったりマッサージを受けにいったり、リラックスすることを心がける方が多いと思います。その一方で、「休んでいられない」とそのまま無理をする方もいらっしゃると思います。この症状を引き起こす病気はいくつかありますが、実は命に関わる病気の症状の一つでもあるのです。では、その病気とはいったいどんな病気なのか?
症状が出た時にはかなり危険な状態かも!!
それは”大動脈解離(だいどうみゃくかいり)”といいます。簡単にいい直すと、大動脈という”大きな血管”が”裂ける”ということです。この”大きな血管”である大動脈はなぜ命に関わる血管なのか?
大動脈と呼ばれる血管は、以下の図のように心臓から最初に出る最大の血管です。つまり、心臓が全身に血液を送るために血液の流れの勢いがあり、最も血管に負担がかかる部分なのです。もし、この血管が裂けたり、穴が開いてしまったら大量出血を引き起こし、死に至ってしまうのは想像できると思います。では、なぜ血管が裂けたり、穴が開いてしまうのでしょうか?
( 図1:Alex Antonio Ramirez Arias -123rf )
血管が内側から壊れてくる!!
そもそも動脈という血管は内膜、中膜、外膜の3層構造になっていて、特に大動脈は最も頑丈にできています。しかし、この頑丈な大動脈は様々な要因でもろくなってしまうことがあります。そのもろくなった状態の一つを、”動脈硬化”といいます。血管は本来、ゴムのような柔軟性があり、伸びたり広がったりすることで血液が流れる勢いによるストレスを減らしています。しかし、動脈硬化のように固く柔軟性のない血管はストレスを減らせないため、血管が内側から壊れやすくなります。もともとは頑丈に作られていますので、動脈硬化があるからといっていきなり血管が破裂することはめったにありません。じわじわと内側から壊れていき、まず内膜を破壊します。この状態でも心臓が動いている限り、血液が血管の内側を流れ続けているわけですから、血液が内膜と中膜の間にも入り込んできます。そして血液が流れ込んでくる勢いでその範囲が広がり、血管が内側から裂けていくわけです。この状態を”大動脈解離”といいます。以下に図を示します。
このように大動脈の裂け方には大きく分けて2種類あります。スタンフォード大学が作った分類なので、左がスタンフォードA型で右がスタンフォードB型といいます。図2の大動脈の左の切れ目の部分が心臓とつながっている部分になりますが、スタンフォードA型の方が心臓により近い部分で裂けているのがわかります。これはとても危険なことなのです。もし裂け目が心臓に達してしまうと心臓を覆っている膜も裂けていき、血液が心臓を囲んで外から圧迫するため最悪心臓がとまってしまったり、心臓破裂を引き起こします。これが突然死に至る過程です。なので、スタンフォードA型は緊急で手術が必要となり、スタンフォードB型のように心臓から遠い部分で裂けた場合は、一旦薬で血圧を下げる治療が行われます。最近は薬の治療だけでは、悪化してしまうことが多いということが分かり、最終的にはカテーテルを使ってステント治療が行われることが多いようです。
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血管にも神経がありますから、裂けた時には痛みを生じます。しかし、神経というのは1つの神経がいくつもの組織を支配している場合が多く、血管の痛みなのに肩や首、背中などにも痛みが出てしまう場合があります。このような痛みのことを放散痛といいます。これが”肩こり”だと思ったら”大動脈解離”だったというトラップになります。
この病気はなんで起こるの?
主な原因は、先ほども説明したように”動脈硬化”になります。血管がもろくなってしまうことが悪いわけです。動脈硬化は年齢とともに進むともいわれていますので、それに伴って高齢者(60歳以上)には血管の病気が多くなるそうです。大動脈解離以外にも有名なところでは心筋梗塞、脳梗塞などがあります。しかし、動脈硬化の原因は年齢以外に高血圧、喫煙、ストレス、運動不足、塩分の取りすぎ、糖尿病、肥満(脂質異常症)があります。つまり、すべて”生活習慣”が関係しているわけです。気を付けるべきは、60歳になるまでにこれらに当てはまらない生活を送ることが重要になります。60歳を過ぎてしまった方は、運動(一日30分程度のウォーキングなど)や血圧のコントロール(安静時に血圧が140を超えている場合は注意)が重要になります。
この病気はどうやったら見つかるの?
それは病院での胸のCT検査などで大動脈解離の存在や動脈硬化の程度を調べることが可能です。症状がないのに病院でいきなりCT検査をしてくださいというのは頼みにくいと思いますので、定期的(最低でも年に1回)に人間ドックをうけることをお勧めします。この病気を発症してしまうと、命に関わる場合もありますし、生活の制限をさらにしなくてはならなくなります。症状がないうちから生活習慣を整えましょう!!